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姿の見えないサメとの攻防を描く海洋スリラー!? 島根県大田市に伝わる民話「影ワニ」をアニメ化!

地域の話題
2022年9月7日

2018年よりはじまった「海ノ民話のまちプロジェクト」。これは日本財団が推進する海と日本プロジェクトの一環として、日本中に残された民話を発掘し、アニメーションをベースとした親しみやすい表現で「海との関わり」や「地域の誇り」を子供たちへ伝え語り継ぐことを目的としたものです。プロジェクト発足5年目となる2022年も、日本各地から選ばれた海ノ民話が映像化されることが決定。そのうちのひとつに、島根県大田市に伝わる民話「影ワニ」が選ばれました。

民話の舞台となった海岸を視察する沼田監督

舞台は、島根県大田市温泉津町沿岸。2007年に世界遺産として登録された石見銀山でも知られたこの地域では、昔、鮫のことをワニと呼んでいました。そのなかでも、近くの海に「影ワニ」という怪魚が棲んでいるという言い伝えがあり、人々に恐れられていました。この影ワニは、海が凪の時に出るといわれていたので、付近の漁村では「凪の日には漁に出てはならない」という掟がありました。

しかし、漁村に住む若い漁師は、この掟を不満に思っていました。「せっかく天気が良い日なのに漁ができないなんて馬鹿げている」と言って、村長たちが制止するのも聞かず、凪の海に出ていきました。そんな若者に村長は「影ワニに出会ったら、むしろでも板でも海に投げ込んで自分の影を消すのだ」と声をかけました。

若い漁師が凪いだ海で漁をはじめると、面白いように魚が釣れました。掟は迷信だったと確信した彼は、夢中になって漁を続けました。日が傾き、漁師の影が大きく海面に映る頃になると、突然漁師の身体に痛みが走ります。その部分の服が裂けていたことを知り、驚いた漁師が海面を見ると、巨大な魚の影が自分の影をついばむように食っていました。それが影ワニだと気づいた漁師は、影を隠すためにせっかく釣った魚を海に捨てはじめます。魚を投げ尽くしたことで船底に敷いてあったむしろを見た漁師は、村長の言葉を思い出し、むしろを海に投げ入れますが、影ワニはむしろを食いちぎりはじめます。影ワニの攻撃によって付いた傷のせいで意識朦朧となった漁師でしたが、日が暮れて影が海に溶け込んでしまうと、影ワニはようやくその場を立ち去りました。

九死に一生を得た漁師が村に帰って一連の出来事を話すと、その後、村の漁師たちは「凪の海に漁にでてはならない」という掟を守るようになりました。
※諸説あり。

沼田監督のロケハンにも密着取材のクルーが同行

その後、大田市教育委員会の皆さんや、地元の郷土史愛好家の方々などを交えたキックオフミーティングも開催。「原作がかなり怖い話なので、子どもたちがあまり怖がらないようにしてほしい」などといった、大田市の皆さんからの要望などが、沼田監督に伝えられました。

キックオフミーティングの後は、沼田監督にもインタビューのマイクが向けられました

昭和時代に放送された「まんが日本むかしばなし」シリーズでも映像化されたり、2015・16年放送の深夜アニメ「影鰐-KAGEWANI-」のモチーフとなるなど、人々の心を惹き付け続けている「影ワニ」。文字通り、影しかみせないワニ(サメ)と漁師の攻防を描いた、今、世界的に人気のサメ映画にも通ずる海洋スリラーといっても過言ではない物語です。
今までのアニメ化作品とは違う、親しみやすい演出とキャラクターデザインで描かれる「影ワニ」は、2022年秋~冬にかけて完成予定です。大田市での上映会も予定されているとのことで、今から期待に胸がふくらみますね。

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