【公開シンポジウム】⽇本昔話学会委員・久保華誉さんに登壇いただきました
一般社団法人日本昔ばなし協会は、2024年3月25日(月)、公開シンポジウム「『海ノ民話』から学ぶもの~作家・芸人・学者の視点から~」を開催しました。小説家の永井紗耶子さん、お笑いコンビ「Aマッソ」の加納さん、日本昔話学会委員の久保華誉さん、日本財団の海野光行常務理事が登壇し、日本中に残された海にまつわる昔話や伝説などの「海ノ民話」について、その文化的価値や活用法を語り合いました。
久保華誉さんのお話をご紹介します。
■⽇本昔話学会委員 久保華誉さん
「民話とは、英語のFolktaleから民間説話という言葉が生まれ、それを略したもの。内容や形式によって『昔話』『伝説』『世間話』があります。地域の歴史や価値観と共に教訓や生きる知恵が含まれています。民話に含まれる『世間話』は、今、皆さんが友達の友達に聞いたなど、最近の話で語られているものです。また、作家が昔話風に創作したものが民話という言葉で表現されたりもします。伝統的な話の形を使いながら、新しい話はどんどん生まれています。」と学者視点での意見を語りました。
また、「普遍性についてですが、とんち話ではない一般的な昔話は、日本では基本的に「勧善懲悪」です。良いことをすれば自分に良いことが返ってくる。そういう世界観は、子どもに安心感を与えてくれると思います。教育的側面から道徳教材に昔話が使われ、例えばグリム童話は明治期から日本で積極的に紹介されました。そこで面白いのは、グリムの原話が日本の昔話らしい形に変化し、広がっていることです。民話は、時代性、文化性などに合わせ、変化していくのです。」と歴史にも触れながら話し、「海ノ民話アニメーションは、原画や声優の語りなど、芸術として優れています。監督がその土地に行って取材して作られている点にも感激しました。言葉の違う外国の方にもアニメーションを通じ、伝えられるものがあります。『自分の国にも同じ話がある、似ている話がある』と交流もできるでしょう。海ノ民話のまちプロジェクトの理念とともに、発信していただけたら素晴らしいと思います。」と今後の展望への期待も述べました。
公開シンポジウム「『海ノ民話』から学ぶもの~作家・芸人・学者の視点から~」のイベントレポートは、こちらからご覧いただけます。