福岡県宗像市で「宗像三女神と沖ノ島」上映会・ワークショップを実施

一般社団法人日本昔ばなし協会は2025年1月18日(土)、福岡県宗像市に伝わる民話を題材にした海ノ民話アニメーション「宗像三女神と沖ノ島」の上映会・ワークショップを、福岡県宗像市にある施設「海の道むなかた館」で実施しました。
福岡県宗像市の海ノ民話アニメーション「宗像三女神と沖ノ島」はこんなお話▼
昔々、天照大神(あまてらすおおかみ)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)との契約(うけい)によって、田心姫神(たごりひめのかみ)、湍津姫神(たぎつひめのかみ)、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)、の宗像三女神がお生まれになりました。天照大神は三女神に対して神勅を下し、市杵島姫神は九州本土の辺津宮、湍津姫神は大島の中津宮、田心姫神は沖ノ島の沖津宮に降り立ち、祀られるようになりました。航海の安全と、歴代の天皇を助ける守り神となったのです。宗像三女神を代々守ってきた宗像の海の民から受け継がれ、現在も守り続けられている思い、お祭とは……
上映会は、アニメ「宗像三女神と沖ノ島」が世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群と関連の深い神話を題材にしているということで、世界遺産ガイダンス施設「海の道むなかた館」の大型スクリーンで上映。地元の親子50人、世界遺産市民の会のみなさん15人が参加しました。
宗像三女神は、世界遺産にも登録された地域に伝わる信仰であり、古事記、日本書紀に登場する神話です。1600年もの昔に始まった大陸との航海と交流の安全を沖ノ島の神に祈っていた信仰が、時代とともに大島での信仰、九州本土での信仰と形を変えて現代まで続いており、それだけ長く語り継がれてきたのは、郷土の先人たちが、信仰、文化、歴史、自然を大切にしてきたからに違いありません。この大切な神話が、神秘的な影絵風のデザインで初めてアニメーション化されたこともあり、大人の参加者からは「頭の中でイメージしていた誓約の場面がアニメ化され新鮮だった」「宗像の世界遺産は伝えにくい面があったが、アニメだとわかりやすい」といった感想が聞かれました。
上映後は、アニメ監督と宗像大社神職、市学芸員とのトークセッションがおこなわれ、沖ノ島の発掘調査や宗像大社の再建に関わり、のちの世界遺産登録に大きな影響を与えた郷土の偉人・出光佐三翁のエピソードも紹介され、アニメの世界をさらに広げる解説がなされました。

また、子どもから大人までが神話と郷土文化を“体感する”機会を創出するため、地元の「宗像くすのき玩具」によるワークショップ、「みあれ祭の船作り」をあわせて開催しました。
「みあれ祭」は毎年10月に執り行われる秋季大祭の中で、沖ノ島、大島の神様を本土の辺津宮までお連れするもので、神様を乗せた御座船を、100隻を超える漁船が取り囲んで海上パレードを行うものです。ワークショップでは、アニメのデザインもあしらったみあれ祭の船作りを楽しんだ後、大海原を再現したステージに完成した船を展示して「みあれ祭」を再現しました。最後に大型スクリーンの前で「みあれ祭の船」製作者全員で船を持って全員で写真撮影。子どもたちの笑顔がはじけ、“体感する”機会で記憶に残る一日になったようです。

