日本財団海と日本海のまちプロジェクト

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岩だらけの島で手招きをする、白い着物の人たちの正体は…。愛知県蒲郡市に伝わる民話「仏島」をアニメ化!

地域の話題
2022年9月2日

2018年よりはじまった「海ノ民話のまちプロジェクト」。これは日本財団が推進する海と日本プロジェクトの一環として、日本中に残された民話を発掘し、アニメーションをベースとした親しみやすい表現で「海との関わり」や「地域の誇り」を子供たちへ伝え語り継ぐことを目的としたものです。プロジェクト発足5年目となる2022年も、日本各地から選ばれた海ノ民話が映像化されることが決定。そのうちのひとつに、愛知県蒲郡市に伝わる民話「仏島」が選ばれました。

蒲郡市の沖合に浮かぶ無人島・三河大島(左側)の南側にある岩だらけの島「仏島」がアニメの舞台に

蒲郡市の沖合に浮かぶ無人島・三河大島。夏の海水浴シーズンには多くの遊泳客でにぎわうその南側に、岩だらけの島があります。海ノ民話「仏島」は、その島にまつわる少し不思議で、少し怖い物語です。

このあたりは海面すれすれに顔をのぞかせる岩場が多く、船の座礁によって死者が相次いだことから「船の墓場」「死者の海」と呼ばれていました。そんなある日、兄弟の船頭が石塔を運ぶために航行していると、突然潮の流れが変わり、岩がそびえる島に引き寄せられました。

船が傾き、兄弟は石塔もろとも海の中へ。重い石塔はみるみるうちに海の底に沈みましたが、兄弟は必死に泳いで難を逃れることができました。荒い息を落ち着かせながら島の頂上を見ると、白い着物の人たちが手招きしていましたが、よく見るとその顔はドクロのようなこの世の者とは思えない形相。あまりの恐怖に気を失った兄弟は、浜辺で意識を取り戻しましたが、しばらく高熱で寝込んでしまいました。

数日後、生活が苦しい兄弟は再び海に出ることに。先日の体験を踏まえ、安全な航路を選びましたが、再び潮の流れが変わり、あの島に引き寄せられてしまいました。

「ナンマンダブ、ナンマンダブ…」。二人が必死におがむと、船がゆっくりと停まりました。兄弟が恐る恐ると顔を上げると、島の頂上には、沈んだはずの石塔が立っていたのです。

ここで死んだ者の霊が成仏できずにさまよっていると思うと、いたたまれなくなった二人は、村人と共にお経を唱えて供養しました。そうすると、不思議なことに島は日に日に低くなり、引き潮の時にだけ顔を出すようになったそうです。
※東愛知新聞 2017.7.20掲載の記事を元に作成。
※諸説あり

2022年5月、この「仏島」の舞台となる蒲郡市を海ノ民話のまち実行委員会認定委員長でもある沼田心之介監督が訪れ、地元の実行委員の皆さんとキックオフミーティングを開催。民話の内容やアニメの方向性についてさまざまな意見が交わされました。

アニメ化への意気込みを語る沼田監督

ミーティング後、沼田監督は「『仏島』は実は怖い話でもあるので、今回はもう少し子どもたちにとっても観やすい形で表現できればと思っています。とはいえ、座礁してしまったりなど危険な場所でもあるので、そういったところはちゃんと伝えつつも、観やすい作品にできたらと思います」と、意気込みを語りました。

蒲郡市役所企画部の小田さんの案内で、仏島周辺をロケハンする沼田監督

また、7月にはチーフアニメプロデューサーをはじめとする事務局メンバーが愛知県蒲郡市の鈴木寿明市長を表敬訪問。「海ノ民話のまち」認定証贈呈式を行いました。鈴木寿明市長は「アニメーションを通して、海の楽しさだけではなくてその怖さというものも同時に感じていただいて海の魅力と共に、これからどうやって海と接するかを考える一つのきっかけになる、そんなプロジェクトになることを期待しています」と述べました。

民話という形で、安全な航行のための予備知識や海への備えを今に伝える、愛知県蒲郡市の海ノ民話をアニメ化する「仏島」。完成は2022年の秋~冬を予定しています。蒲郡に暮らしてきた皆さんが大切に伝えてきた、ちょっと不思議でちょっと怖いお話が、どんなアニメになるのか。完成を楽しみにしていてくださいね。

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