高知県安芸市で「ナギの木に助けられた漁師」の上映会・フィールドワークを実施

一般社団法人日本昔ばなし協会は2025年2月16日(日)、高知県安芸市に伝わる民話を題材にした海ノ民話アニメーション「ナギの木に助けられた漁師」の上映会を安芸市立伊尾木公民館、フィールドワークを伊尾木洞で実施しました。
高知県安芸市の海ノ民話アニメーション「ナギの木に助けられた漁師」はこんなお話▼
むかし、海上安全の波切り不動のお堂のそばにナギのご神木が立っていました。あるとき、金二という漁師が、仲間の松吉と漁に出掛ける途中、雲行きが怪しいことが気にかかり、ご神木にお祈りをしてからいくことにしました。金二が手を合わせていると、折れかかったナギの枝を見つけます。金二は持っていた釣り糸で枝を補強してやりました。その後、漁に出た二人でしたが、沖合で突然の嵐に遭遇してしまいます。船は嵐に呑まれて転覆し、一緒だった松吉は海の底に引きずり込まれてしまいました。信心深い金二は放り出された海の中で一心に祈ると……
上映会は、アニメの舞台となった伊尾木地区の公民館で開催し、周辺エリアに在住の市民の皆さん46名が参加。上映開始の30分以上前からお越しになる方や、当日飛び入りでご参加いただいたお子様も多く、みな上映会を楽しみにされていた様子でした。地域に古くから立っているナギの木に思いを寄せるとともに、海との共存について改めて考えた、といった声もあり、地域の方々の学びを深める良い機会となったようです。また最初の上映後に「アンコール」の声が上がりましたので、公民館の館長からのお話のあとで再度、アニメを上映しました。

上映会の後には「ナギの木」の近くにある伊尾木洞に向かい、舞台となった地域の背景や特徴、海にまつわる歴史などを、伊尾木あなごう保存会 会長の佐々木邦和氏にガイドいただきました。伊尾木洞が昔は海の底にあり、長い年月を経て地上へと隆起し現在の形となったことなどを、洞の壁面にある化石を実際に見せながらの説明は、海や自然の力をより印象付ける内容のものでした。参加者からは、ナギの木・伊尾木洞ともに、普段近くにあって特段深く考えることはなかったけれども、改めて説明を受けて理解が深まり、地域に対する愛着が強まった、などの声が聞かれました。

参加者の声
参加した子ども
・初めて見て、うれしかった。びっくりした。おもしろかった。
・漁師さんが波に飲まれたのは、かわいそうだった。
・海で泳ぐときは、波が強くなってきたら帰るようにする。
海外出身のALT講師
・アニメには空や海、土、木など、自然の描写がたくさん出てきた。自然の力は恐ろしい。人間には助け合いの力がある。それが大事なこと。自然も人を助けることがあるので、作品からは助け合いのメッセージを強く感じた。楽しい作品ですが、メッセージは深いと思う。