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北海道函館市で「ムイとアワビの合戦」の上映会を実施

活用イベント
2025年2月25日

一般社団法人日本昔ばなし協会は2025年2月18日(火)、北海道函館市に伝わる民話を題材にした海ノ民話アニメーション「ムイとアワビの合戦」の上映会を函館市立戸井学園で実施しました。

北海道函館市の海ノ民話アニメーション「ムイとアワビの合戦」はこんなお話▼
昔むかし、小さな島が浮かぶ海の底にムイ(オオバンヒザラガイ)とアワビという貝が住んでいました。ムイとアワビは仲が悪く、神様もほとほと困り果てていました。「おまえたちは元々いとこ同士で先祖は同じなのだ。いいかげん喧嘩をやめなさい。仲良く付き合っていかないことには、どちらかが姿を消すことになる」という神様の言葉もお互いの耳には入らないようです。そして神様の留守の間にまたまた喧嘩をはじめ、仲間を呼んでの大合戦がはじまりました。戻ってきた神様は見るに見かねて……

今回の上映会は、地元の歴史・地元の海を学ぶ海洋教育の一環として、函館市立戸井学園に通う、小学1年から4年生の児童28名が参加しました。戸井学園は、今回アニメ化された「ムイとアワビの合戦」の舞台となった「武井ノ島(むいのしま)」周辺の海と同地区にあります。
上映会が始まると、かわいらしくデフォルメされたムイやアワビ、そして仲裁役の神様など登場人物が生き生きと描かれ、さらに身近にある場所がアニメにでてくることによって、子どもたちは作品の世界に引き込まれていました。ムイとアワビにはセリフはなく「ムイムイ」「アワアワ」と、独特な声のみですが、アニメという手法だからこそできる表現が子どもたちの心をしっかりと掴んでいたようです。

私たちが目にする海は、海面のほんの一部でしかなく、海中でのダイナミックな日常は触れるチャンスが限られています。「ムイとアワビの合戦」はそのワンシーンを切り取ったものであり、海への関心を呼ぶため普段は見ることのできない海の中を可視化した作品です。アニメの親しみやすさを導入とし、リアルの世界とつなげるため、上映会後は函館周辺の水中を撮影した映像を見ながら、そこに住む生き物たちの不思議な姿や生態を学ぶ時間と、サプライズとして戸井地区の海で育ったムイとアワビのタッチプールを用意し、五感で学ぶ機会を提供しました。生きているムイとアワビに、子どもたちは興味津々で、のぞき込んだり触れたりしていました。

近年、地形や海流が科学的に解明されることにより、このエリアの海の生きものたちの生息域が特定されています。しかし先人たちは海を観察することによって、経験として理解しこの物語を完成させました。私たちも海へ関心をよせ、日々海の様子を観察することが大切であるということを、子ども達に伝えた1時間となりました。
参加した児童からは「海に神様がいるのかなと思った」「地球温暖化で生き物たちが苦しくなるのを止められるようになってみたいと思いました」と感想が聞かれました。

海ノ民話アニメーション「ムイとアワビの合戦」

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