日本財団海と日本海のまちプロジェクト

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突如現れた老婆の目的は…!? 徳島県板野郡松茂町の民話「このしろばあさん」がアニメ化!

地域の話題
2022年11月7日

2018年よりはじまった「海ノ民話のまちプロジェクト」。これは日本財団が推進する海と日本プロジェクトの一環として、日本中に残された民話を発掘し、アニメーションをベースとした親しみやすい表現で「海との関わり」や「地域の誇り」を子供たちへ伝え語り継ぐことを目的としたものです。プロジェクト発足5年目となる2022年も、日本各地から選ばれた海ノ民話が映像化されることが決定。そのうちのひとつに、徳島県板野郡松茂町に伝わる民話「このしろばあさん」が選ばれました。

舞台となる豊岡と満穂の境は、むかし、入江になっていて、絶好の釣り場でした。ある秋、何人かの漁師が舟で魚を獲りに行きましたが、この日は「このしろ」という魚がいっぱい獲れ、気づけばすっかり日が暮れていました。浜に帰った漁師たちはお腹が空いたので、取ってきたばかりのこのしろをあぶり、酒を酌み交わしていました。するとその時、さあっと一陣の風がふき、燃えていた火が消えました。そしてどこからか、髪を振り乱し、口が耳まで裂けた鋭い目つきをした老婆がやってきて、「このしろほしや、このしろほしや」と言いました。

漁師たちは恐怖に怯えていましたが、一人の漁師が勇気を出して、「ここには一匹もありません。船にあるのを取ってきましょう。」と言い、走って逃げ出しました。残りのものも船めがけて走り、沖へ漕ぎ出しました。老婆は、恐ろしい形相で「だましたなあ」と、追ってきます。漁師たちは必死に漕ぎながら船の神様に一心にお祈りすると、いつしか老婆の姿は消えていきました。
※諸説あり

2022年7月、海ノ民話のまち実行委員会認定委員長でもある沼田心之介監督をはじめとする事務局メンバーが徳島県松茂町を訪れ、キックオフミーティングを開催。地域でも知る人ぞ知る民話をどのようにアニメ化するかといった意見交換がされました。その後のロケハンでは、民話の舞台となった長原漁港などを訪れ、カメラに収めていました。

そして9月には、吉田直人町長を表敬訪問し、「海ノ民話のまち」認定証贈呈式を行いました。吉田直人町長は「海岸線が多い松茂町の観光資源は海しかないと言っても過言ではありません。松茂町の海をテーマにした民話をアニメにしていただけるのはありがたい。海と共に生きる地域の街づくり中で、このアニメを地域の活性化に役立てたいと考えています」と述べました。

乱獲への警鐘と、豊かな海の物語をいまに伝える徳島県松茂町の海ノ民話。2022年冬に完成予定のアニメは、町の交流拠点施設でもあるMatsushigate(マツシゲート) にて上映会が行われる予定です。どうぞご期待下さい。

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