つるの剛士さんご登壇!海ノ民話×異分野で語る「スペシャルセッション」を開催
一般社団法人日本昔ばなし協会は、2026年3月26日(木)に神田明神ホールにて「海ノ民話フォーラム2026」を開催しました。午後に実施した「スペシャルセッション~民話から創造する新たな世界~」は、民話と音楽(オペラ・ラップ)、俳句、そして学術を掛け合わせ、新たな価値を創造することを目的としたものです。ゲストにタレント・俳優・ミュージシャンなど多方面で活躍されている、つるの剛士氏を迎え、各分野の専門家とのセッションを通じて、民話が持つ可能性を多角的に掘り下げました。
伝統の「語り」と現代の「アニメ」の共演
鳥取県岩美町の語り部・片村俊子氏が登壇し、民話「海の神様」を披露しました。生の声による迫力と温かい語りに続き、その物語を映像化したアニメーションを上映。伝統的な継承の形と、現代的な表現が融合する瞬間を会場全体で共有しました。


民話×オペラ・ラップ:新たな表現への昇華
「海ノ民話」をテーマに、異ジャンルのアーティストが共演。オペラグループ「Trio99(トリオツーナイン)」は、アニメ「くじらの夫婦」を題材に、力強い歌声で物語の情緒を表現しました。続いて、現代の語り部としてラッパーの眞魚(まお)氏が登場。アニメ「河童の恩返し」に込められた物語や思いを、リリック(歌詞)を刻む斬新なパフォーマンスを披露し、民話が持つ現代的なエンターテインメントとしての可能性を示しました。


海ノ民話俳句コンテスト&言葉の深化
国際俳句協会会長の星野高士氏を迎え、民話と俳句の親和性についてトークを展開。星野氏は、言葉による表現、自然との関わり、地域性、そして想像力を喚起する力は共通していると語りました。あわせて、全国から寄せられた「海ノ民話俳句コンテスト」の入賞作品を発表。参加者それぞれの瑞々しい感性で詠まれた句の一つひとつに、星野氏による丁寧な講評が添えられました。


学術的視点から探る「海ノ民話学」
終盤には、池ノ上真一氏、飯倉義之氏、下田元毅氏の、3名の専門家が登壇。「海ノ民話学」として、民俗学だけでなく、建築や防災、社会課題の解決に民話がどう寄与できるかを議論しました。「民話は単なる昔ばなしではなく、地域文化、防災、環境問題、そして現代の表現方法と結びつくことで、未来を考えるための貴重な資源となる」という新たな視点が提示されました。


つるの剛士氏が語る民話の魅力と、沼田監督が掲げる決意
つるの氏は、大人になって改めて民話に触れたことで「子ども向け」という先入観が覆されたと告白。「桃太郎のような誰もが知る物語にも、原型には当時の人々の切実な願いやロマンが隠されている。民話は知れば知るほど奥深い」と感銘を受けた様子で語りました。
また、自身が移住した藤沢市の民話「五頭竜と弁天様」を例に挙げ、「民話を知ることで、その土地の歴史や海との付き合い方が見えてくる。民話はまさに、その土地を深く知るための『入り口』」であると強調。今後は仕事で訪れる先々の民話を調べてみたい、と声優としての参加にも意欲を見せ、会場を沸かせました。
沼田監督は、現在117作品まで到達した「海ノ民話アニメーション」を、将来的に日本全国すべての自治体で展開したいという壮大な目標を掲げました。 「日本人が世界から賞賛される整然とした行動や精神性の根源には、幼少期に触れた民話の教訓があるはず。忘れ去られつつある『日本人の心』を、民話を通じて呼び覚ましたい」と力強く宣言。今回挑戦したラップやオペラ、俳句とのコラボレーションについても、「異分野との相乗効果が民話の可能性を広げ、相互に火をつけ合う関係になれる」と確信を述べました。 監督は最後に、子どもたちが成長の過程で繰り返し民話に触れ、その時々で異なる気づきを得られる環境を作っていく決意を語り、フォーラムを締めくくりました。
