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美しい娘の正体は…!? 山梨県市川三郷町に伝わる民話「娘に化けた大ウナギ」をアニメ化!

地域の話題
2022年10月4日

2018年よりはじまった「海ノ民話のまちプロジェクト」。これは日本財団が推進する海と日本プロジェクトの一環として、日本中に残された民話を発掘し、アニメーションをベースとした親しみやすい表現で「海との関わり」や「地域の誇り」を子供たちへ伝え語り継ぐことを目的としたものです。プロジェクト発足5年目となる2022年も、日本各地から選ばれた海ノ民話が映像化されることが決定。そのうちのひとつに、山梨県市川三郷町に伝わる民話「娘に化けた大ウナギ」が選ばれました。

昔、甲州の西八代あたりの奥沢には、流れが穏やかで水が暖かいことから、海から遡上してきたウナギがたくさんいたそうです。ある日、村(三珠町の樋田部落)のお祭りが終わった後に、ウナギを取る事になった若者たちは『毒もみ』といって木の幹や根っこから毒を取り、それを団子にして、川に投げ込むという方法で漁をすることに。

準備のため、簡単な小屋の中でご飯を食べていると、小屋にひとりの娘がやってきました。 この近くに住むという娘は、若者達に「毒もみは止めておくれ、この辺りの魚がいなくなってしまう」とお願いしてきます。その言葉に若者達は驚きながらも、食べていた粟飯をこの娘にもすすめた。 おいしそうに粟飯を食べる娘ですが、その首筋に大きな傷痕がありました。満腹になった娘は「そろそろ帰るね。本当に毒もみは止めておくれよ」 と若者達に念を押してから家へと帰っていきました。

しかし若者達は、娘の言葉を無視して毒もみを開始。できあがった毒団子を池に投げ込むと、バシャバシャバシャという音と共に毒で弱ったウナギや魚が浮かんで、若者達の方に流れてきます。大喜びで魚を取りあげていると、しばらくして巨大な大ウナギも浮かび上がってきました。

「きっとこの沢の主じゃな!」と、一人の男がご機嫌でウナギをさばいてみると、その腹から粟粒がこぼれてきました。エラの部分をよく見ると、粟飯をごちそうした娘と同じ大きな傷があったことから、男は一目散に逃げ出しました。叫び声を聞いて駆けつけた別の男達も、ウナギの傷を見て慌てて逃げ出しました。

ウナギの主が娘に化け、命乞いに来たのだと考えた村人達は、この沢を『鰻沢』と呼んで、近づかなくなったそうです。この場所は「うなぎ沢」という名前で、現在も残っています。
※諸説あり

2022年6月、海ノ民話のまち実行委員会認定委員長でもある沼田心之介監督が市川三郷町を訪れ、役場の皆さんをはじめとする方々とキックオフミーティングを開催。完成した絵コンテをもとに、シナリオ構成などについてさまざまな意見が交わされました。その際に「『毒もみ』と呼ばれる漁法は現代では残っていないし、うなぎ沢も治水工事によってうなぎの遡上はなくなってしまったので、ぜひアニメの中で残して行って欲しい」といった声も上がっていました。

この模様は、YBS山梨放送にて毎週金曜朝9時55分より放送の情報番組「やまなしマルシェ」でも紹介。映し出された絵コンテから、可愛らしい娘に姿を変えたウナギの主の姿を確認することができました。

ミーティング後は、民話の舞台となったうなぎ沢や、町指定文化財でもある仁王門や黒松の古木などで知られる市瀬山光勝寺といった市川三郷町の名所にてロケハンを実施。町の魅力を映像として表現するため、豊かな自然をカメラに残していました。山梨県は東京都・神奈川県・埼玉県・静岡県・長野県に四方を囲まれた、海のない場所。にも関わらず、人口当たりのウナギ屋さん、お寿司屋さんの件数が全国トップレベルということでも知られています。近年のキャンプブームを受け、町内にある四尾連湖のキャンプ場にも多くの観光客が詰めかけるなど、さまざまな注目を集めている市川三郷町。そんな町に伝わる民話をアニメ化した「娘に化けた大ウナギ」は、2022年冬に完成予定。町内で上映会を開催する予定もありますので、完成をお楽しみに!

山梨県は東京都・神奈川県・埼玉県・静岡県・長野県に四方を囲まれた、海のない場所。にも関わらず、人口当たりのウナギ屋さん、お寿司屋さんの件数が全国トップレベルということでも知られています。近年のキャンプブームを受け、町内にある四尾連湖のキャンプ場にも多くの観光客が詰めかけるなど、さまざまな注目を集めている市川三郷町。そんな町に伝わる民話をアニメ化した「娘に化けた大ウナギ」は、2022年冬に完成予定。町内で上映会を開催する予定もありますので、完成をお楽しみに!

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