日本財団海と日本海のまちプロジェクト

今こそ伝えたい海の民話アニメーション

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長崎県松浦市・青島に伝わる民話「長者と河太郎(がたろう)」をアニメ化!

地域の話題
2022年8月2日

2018年よりはじまった「海ノ民話のまちプロジェクト」。これは日本財団が推進する海と日本プロジェクトの一環として、日本中に残された民話を発掘し、アニメーションをベースとした親しみやすい表現で「海との関わり」や「地域の誇り」を子供たちへ伝え語り継ぐことを目的としたものです。プロジェクト発足5年目となる2022年も、日本各地から選ばれた海ノ民話が映像化されることが決定。そのうちのひとつに、長崎県松浦市の離島・青島に伝わる民話「長者と河太郎(がたろう)」が選ばれました。

「長者と河太郎」は、青島に暮らす島民とカッパの交流を描いた物語。かつて、崎(さき)の島・中の島・南島の三つの島に分かれていた青島。島を治めていた中の島の「郡(こおり)の長者」は、潮が干いた時は渡ることができるものの、潮が満ちて来ると、船をこいで行かなければならないという環境に島民が苦労している様子を見て、「もっとみんなが快適に暮らせるように」と地続きにすることを決意します。時折、時化の荒波によって、せっかく積んだ石や運んだ土が崩されるという困難も乗り越え、四年という歳月の中でようやく島民たちの願いが叶いそうになった頃、カッパの河太郎一家が工事の邪魔をしてきます。人間の足をとっては海へ引きずりこみ、しりご(尻子玉)を抜く怖い生き物だと言われているカッパでしたが、どうしても工事を完成させたい長者は、河太郎を屋敷でもてなし、丁寧に協力を求めました。そんな長者の真剣な様子に心を打たれた河太郎は、約500匹という一族のカッパを引き連れ、人間に協力。こうして、青島は現在の姿になったという言い伝えが、民話として語り継がれてきました。
※諸説あり

松浦市の御厨港からフェリーで20分の青島へ向かう沼田心之介監督
視察にはKTNテレビ長崎の取材の方も同行

2022年5月25日、この「長者と河太郎」の舞台となる青島を、海ノ民話のまちプロジェクト認定委員長でもある沼田心之介監督が視察。民話にも登場する、「かしら」と呼ばれる、河太郎一族の長老の墓石とされる大きな石を写真などに収めていました。

その翌日は、松浦市職員や島にお住まいの皆さんなどからなる、実行委員会のキックオフミーティングが開かれました。民話の中に出てくる場所や言葉の読み方などを確認したほか、アニメ化する上での要望などを意見交換しました。ミーティングに参加した、青島に暮らす方からは「カッパと島民が工事の完成祝いで行う宴会の場面で、地元の魚を出せたら」という、地元の魅力を知り尽くしている島民ならではのアイディアも出されました。また、今年開設された長崎県立松浦高校の地域科学科の授業でも取り上げてみたいという意見も出るなど、松浦市全体で「長者と河太郎」そして「海ノ民話のまちプロジェクト」を盛り上げようという意気込みが伝わってきました。

今回の青島視察とキックオフミーティングの模様は、KTNテレビ長崎のニュース情報番組「マルっと!」でも紹介。沼田監督の「地元の方の意見を作品に入れ込めるように考えていきたいです。自分の町にはこんな話があると知ってもらいながら、そういったお話が今も残っていることを誇りに思っていただいて、それをまた松浦市外の人にも伝わるといいなと思います」というメッセージも、長崎の皆さんに伝えられました。

アニメの完成は今年11月の予定。地元の小中学生に向けた上映会なども企画されています。どんな作品になるのか、お楽しみに!

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