広島県福山市で「百貫島物語」のフィールドワークを実施
一般社団法人日本昔ばなし協会は2023年11月26日(日)、海ノ民話アニメーション「百貫島物語」のフィールドワークを、民話の舞台である広島県福山市鞆(とも)の浦に浮かぶ弁天島(百貫島)で実施しました。
「百貫島物語」は、この島のいわれを伝える物語。武士に頼まれて海に沈んだ刀を探していた若い漁師が命を落としてしまい、それを悔いた武士は銭百貫を投じて島に供養の石塔を建てたーーというお話です。
フィールドワークには、福山市立鞆の浦学園の児童が参加。民話アニメで描かれた石塔が建つ弁天島に船で渡り、鞆の浦歴史民俗資料館の通堂博彰館長のお話を聞きました。瀬戸内海の中心にあたる鞆の浦は、潮の満ち引きを待つ船が集まる「潮待ちの港」として栄えたこと、近江(今の滋賀県)の武士が安芸(今の広島県)の厳島神社に参拝し、その帰りに鞆の浦に差し掛かったとする民話の設定は歴史考証的に納得がいくものであることなどを聞き、民話の背景を学びます。
続いて、銭百貫で建立されたと伝わる石塔を間近で見学。アニメでは十一重の石塔として描かれていたのに、数えてみると九重しかありません。通堂館長の説明によると、長い歴史の中で塔の途中の部分が欠損したとみられ、今は九重の塔として現存するとのこと。
この石塔が鎌倉時代に建立されたことや、県の重要文化財に指定されていることも聞き、民話と実際の歴史の関わりについて思いをはせました。参加した児童からは「生まれて初めて弁天島に渡った!とっても貴重な体験をしたので家族に話したい」「歴史に興味があったのでますます興味がわいた」といった声が聞かれました。