山梨県甲府市で「弦間八兵衛と鮫」の上映会を実施

一般社団法人日本昔ばなし協会は2025年2月15日(土)、山梨県甲府市に伝わる民話を題材にした海ノ民話アニメーション「弦間八兵衛と鮫」の上映会を、甲府市のリッチダイヤモンド総合市民会館芸術ホールで実施しました。
山梨県甲府市の海ノ民話アニメーション「弦間八兵衛と鮫」はこんなお話▼
むかし甲斐国(山梨県)に五人がかりで張った弓をも引くことができる弦間八兵衛正吉という弓の名人がいました。 あるとき八兵衛が駿河国(静岡県)から出航したところ、海中から一匹の鮫が現われて船の進路を阻みました。誰か一人が鮫の犠牲にならなければいけないという、船の習わしに選ばれたのはなんと八兵衛。鮫に喰われてたまるかと怒った八兵衛は自慢の弓を持って、狙いすました一撃でその鮫を射抜き、見事に撃退しました。その後、八兵衛が役目を済ませた帰り途、その近くの浜辺を通りかかると白骨化した大きな鮫を見かけ……
今回の上映会は、甲府市主催のイベント「私の地域・歴史探訪スペシャル 柳沢吉保・吉里記念事業」という戦国時代から江戸時代の甲府を学ぶイベントの午前の部で実施。県内在住の子ども・大人約80名と多くのかたが参加しました。アニメ上映後は、「江戸時代の武家の生活や海との関わり/海なし県の山梨と海との関わり」と題し、スライドを使ったトークショーを行いました。ステージでは、八兵衛が過ごした時代に詳しい有識者の信藤祐仁さん、アニメ監督を務める沼田心之介、そして山梨事務局の酒井がMCを務め進行し、江戸時代から甲府市大里地区に伝わるこの海ノ民話から、どのようなことがわかるかを解説。民話の主人公・弦間八兵衛が史実に残る「実在する武士」だったことから、重要文化財に指定されてる江戸時代の古民家・高室家住宅の写真で、八兵衛の日常生活を推測。さらに八兵衛が海へ向かったことから、江戸時代の山梨と海を結ぶ物流についてや、塩の道となっていた富士川舟運と、海産物を運ぶ中道往還についなど、海との物流経路が当時から生活に密着した大動脈であることなど、海に面していない山梨県と海との関わりを語りました。
また、江戸時代から海のない山梨県に住む人々は海へのあこがれが強く、多くの生命を育む海に対して畏敬の念を持っていたことを挙げ、今も昔も変わらない海の重要性も伝えました。

参加者の声 (子どもたちの感想)
・サメがいたら怖いけれど、海は見に行ってみたいと思った。
・頭に来ても悪いことをしたら必ず自分に罰が来ると改めて思った。
・骨を踏まなければもう少し長生きできたのに…と悲しくなった。
コラボ菓子の紹介・アニメの原画展示
上映会・トークショー終了後のお楽しみとして、アニメーションの原画などを並べ、来場者に自由に見てもらう時間を設定。作品について監督である沼田自ら来場者とお話しする機会もあり、作品について深く知ってもらう体験になったようです。さらに甲府市の老舗和菓子店「松林軒豊嶋家」とのアニメコラボ菓子「海ノがらがら」を参加者約80名にプレゼントしました。当日は、松林軒の店主も来てくださり、完成品ができるまでのご苦労などを話してくださいました。「海ノがらがら」は、期間限定・数量限定で同日から発売中です。

